Veronica/Elvis Costello

これが君のかわいい小さな頭の中にあるすべてなのかい?
あの暗い場所では何が起きているのだろう?
僕が知っているひとりの女の子
名前は確かヴェロニカと言った
彼女は無邪気で
上品な表情をしていたよ
彼女について近頃僕が心配なのは
自分の名前がヴェロニカなのかさえわからなくなってしまうこと

両手で目を覆って待っていれば
ヴェロニカは隠れていなくなるのかい?
いつでも彼女は笑っている
その名を叫び服を盗む人間のことを
ヴェロニカ
ヴェロニカ

日々は怠惰に流れた? 真心は消え失せた?
彼はずっと町をさまよっていた?
君も夢から覚めるだろうか
ドアに立つ狼がヴェロニカに手を伸ばせば
すべては65年前
彼女の暮らす街の通りが世界だった頃
ひとりの若者が海で船を漕いでいた
ヴェロニカの写真を手に

「インドの女帝」の名で
彼女は世界を眼前に目を閉じて
先週のニュースの亡骸を拾い
もう一度彼の名前を叫んだ

両手で目を覆って待っていれば
ヴェロニカは隠れていなくなるのかい?
いつでも彼女は笑っている
その名を叫び服を盗む人間のことを
ヴェロニカ
ヴェロニカ

ヴェロニカはお気に入りの椅子に腰かけ
音も立てずにじっとしている
みんなが彼女の名前を呼ぶけれども
誰ひとり正しい名前を呼ぶことはない
だけど彼女は無邪気で
いたずら好きな表情をしていたよ
「私のことは好きなように呼べばいいわ」
「でも私の名前はヴェロニカなの」

両手で目を覆って待っていれば
ヴェロニカは隠れていなくなるのかい?
いつでも彼女は笑っている
その名を叫び服を盗む人間のことを
ヴェロニカ
ヴェロニカ

ヴェロニカ